伊勢市の食文化|伝統と味が息づく「神都・伊勢」のグルメ旅

日本人にとって特別な場所、伊勢神宮が鎮座する「伊勢市」。
このまちは「神宮のまち」として知られる一方、長い歴史に育まれた豊かな食文化を持つ地域でもあります。
観光で伊勢を訪れる方の多くが楽しみにしているのが、まさに“伊勢グルメ”。
今回は、そんな伊勢市の食文化に焦点を当ててご紹介します。

神宮

■ 伊勢の食文化のはじまり|神様に捧げる食事「御饌(みけ)」

伊勢の食文化は、伊勢神宮の存在を抜きには語れません。
内宮の神様「天照大御神」に毎日2回、朝夕に捧げられる食事を「御饌(みけ)」と呼び、これは米・酒・魚・野菜など地元の恵みで構成されています。

この御饌文化こそ、伊勢地域に“良い食材・清らかな調理・丁寧な心”が根付いた源です。
その影響もあり、伊勢市には「素朴だけど滋味深い」料理や、素材を活かしたお菓子が多く残っています。

■ 伊勢の名物料理といえばこれ!

◉ 伊勢うどん

真っ黒な見た目が印象的な「伊勢うどん」は、伊勢のソウルフード。
極太でふわふわの麺に、甘辛いタレを絡めて食べるスタイルは、シンプルながらもやみつきになる味わいです。
実はこれ、参拝客が短時間でお腹を満たせるように考えられた食事とも言われています。

◉ 手こね寿司

カツオやマグロを醤油ダレに漬けて、ご飯に混ぜ込んだ郷土料理。
もともとは漁師さんが船上で作っていた“まかない飯”がルーツです。
伊勢志摩地方の新鮮な海の幸を味わえる一品として、観光客にも人気があります。

◉ あられ・かきもち・和菓子

伊勢は米どころでもあるため、もち米を使った保存食・おやつも豊富。
手焼きあられ、伊勢餅、和菓子の「赤福」などが代表的です。

◉ ぱんじゅう

100年の歴史ある郷土菓子であり、お伊勢参りのお供に親しまれる焼き菓子。青のり香る餡の味わいが伊勢ぱんじゅうの特徴です。

■ お伊勢参りと甘味文化

江戸時代、「一生に一度はお伊勢参り」と言われるほど庶民の憧れだった伊勢神宮。
参拝を終えたあとの“おかげ横丁”や“内宮前の茶屋”では、疲れた体を癒す甘味文化が発展しました。

 

赤福餅のような歴史ある甘味だけでなく、現在ではソフトクリーム・和スイーツ・ぜんざいなども豊富。
そして、**地元で愛される隠れた名物として注目されているのが「ぱんじゅう」**です。

■ ぱんじゅうとは?伊勢の隠れた名菓

「ぱんじゅう」は、まるで“今川焼とまんじゅうの中間”のような焼き菓子で、外はふっくら、内はたっぷり餡が詰まったおやつ。
伊勢市では地元の老舗がそれぞれ工夫を凝らした「ぱんじゅう」を作っており、中には栗や伊勢茶を練り込んだものもあります。

三ツ橋製菓では、**手焼き・自家製餡・特製蜜を使った「ぱんじゅう」**を、創業以来100年近く守り続けています。
伝統の味を、現代の人々にも気軽に楽しんでもらえるよう、新しいフレーバーやソフトクリームとのコラボも展開中です。

■ 食と神事がつながるまち、伊勢市

 

伊勢市では、毎年10月の「神嘗祭(かんなめさい)」や、秋の新米奉納の儀式など、食と神様を結ぶ行事が今も厳かに行われています。
こうした文化的背景の中で、伊勢の食は単なる「グルメ」ではなく、自然と人と神様が共に生きる象徴として大切にされています。

■ 伊勢の食文化を未来へ

伊勢の食文化は、観光地としての魅力だけでなく、地域の人々の暮らし・信仰・心の在り方までも体現しています。
観光で訪れた方は、ぜひ「名物を食べる」だけでなく、その背景にある文化や想いにも触れてみてください。

 

私たち三ツ橋製菓では、そんな伊勢の魅力をお菓子づくりを通して発信しています。
伝統と創意をかけ合わせた“伊勢ならではの味”を、どうぞこれからもお楽しみください。